ダイビング高圧ガス安全協会
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アルミタンク法改正に至る背景
水分・塩分侵入の原因

◎コンプレッサーが吸入する空気の質

空気充てん所が海岸近くにある場合には、塩分を多く含んだ空気が吸入されタンク内に充てんされる可能性がある。コンプレッサーには空気清浄器が付いており、コンプレッサーの空気吸入口から吸入された空気はコンプレッサーで圧縮された後、空気清浄器を通って不純物が取り除かれスクーバタンクに充てんされる。

 空気清浄器が正常な状態で機能していれば通常は塩分を含んだ空気がタンクに充てんされることは少ないと考えられるが、清浄器のメンテナンスが不十分であると塩分が十分除去されない可能性が考えられる。

◎ドレンの巻き上げ

ドレンの巻き上げ 前述のようにコンプレッサーには空気清浄器が取り付けられており、この空気清浄器で不純物を取り除くわけだが、不純物にも様々な種類のものがある。

清浄な大気中の空気は約21%の酸素と79%の窒素から構成されているが、(この他に微量な他のガスも含まれている)コンプレッサーでスクーバタンクに空気充てんする場合に混入する可能性のある不純物には、一酸化炭素、二酸化炭素(炭酸ガス)、オイルミスト(微細な霧状の油分)、その他固形物などが考えられる。

 空気吸入口の位置や周囲の環境、またコンプレッサーの整備が悪いと一酸化炭素や二酸化炭素を含んだ空気を吸い込んでしまう。オイルミストは主としてコンプレッサーの潤滑油が空気に混入したものである。

また、空気中の水分は圧力が高くなると空気中に気化していられなくなり、水滴となって現れる。これは圧力が高くなればなるほど多くの水分が水滴化する。

 空気を圧縮中にコンプレッサーの中で空気中から分離した水分や油分など、液体化したものを総称して「ドレン」と呼んでいる。

 コンプレッサーから出てきたばかりの圧縮空気には、ドレンなどが多く含まれており、ドレンセパレーター(油水分離器)でこれらのドレンを取り除き、さらに薬剤等を用いて不純物を取り、呼吸用の空気となる。

コンプレッサーの運転操作、および充てん作業のやり方が悪いと、本来分離されて外部に排出されるべきドレンがスクーバタンク内部に侵入してしまう事がある。

 ドレンセパレーター内部に多量にドレンが溜まったままの状態で、セパレーター内を空気が早い流速で流れると、溜まっていたドレンを巻き上げ、空気と共にドレンがタンク内部に侵入してしまう。

 こうした現象を防ぐには、常々ドレンセパレーターを含む空気清浄器を整備しておくと共に、タンクに充てん作業を行う直前にセパレーターに溜まったドレンを排出しておくことが必要となる。

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◎タンクバルブ部に溜まった水や海水の侵入

バルブに残った水分 タンクバルブはレギュレータを取り外すとその構造上から、たとえ残圧を残していたとしてもバルブ内部のストップ弁までは海水や水が簡単に侵入してしまう。バルブ内部に海水等が侵入したままの状態で充てんホースを取り付け、空気充てんをしてしまうとバルブ内に残っていた海水等はタンク内部に侵入してしまう。

空気充てんのたびにこうしたことが起こると、タンク内部にはかなりの量の海水等が入ってしまうことになる。

これを防ぐには、タンクバルブに充てんホースを取り付ける前にタンクバルブを一瞬開いて内部の海水等をタンクの空気で吹き飛ばし、その後充てんホースを取り付け充てんを開始することが必要である。

◎タンクの空気を空にしてしまうこと

タンク内の空気圧がゼロの状態でタンクバルブが開いていたりすると、海水等がきわめて容易にタンク内に侵入してしまう。スクーバタンク使用後も必ず残圧を残しておかなければならない。
もし貸し出したタンクが空の状態で返却された場合などは、バルブを取り外して内部に海水等が侵入していないか点検をすべきである。
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