ダイビング高圧ガス安全協会
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ガイドライン策定趣旨  適用範囲  検査場所  作業工程


タンク自主検査ガイドライン策定の趣旨

 アメリカをはじめ諸外国では以前より、スクーバタンク年1回の内部目視検査が広く実施されており、以前より日本のダイビング業界の一部からはその必要性が語られていましたが、日本は諸外国とは異なり、スクーバタンクの使用や管理について法令で厳しく規制され、法令に基づく検査を正しく行っていればかなりのレベルで安全性が確保できる環境にありました。

 しかし、バブル崩壊後の経済不況対策から、社会的要求として様々な分野での規制緩和が求められるようになり、こうした環境を背景としてスクーバタンクに係わる各種の規制も大幅に緩和されてきました。  具体的には、免許を必要とせず充填できるコンプレッサーの最大能力の緩和、スクーバタンクが3年ごとに受けなければならなかった容器再検査(通称:耐圧検査)が5年間に延長された事などがあります。(製造年の古いものについては3年間ごと。)

 アルミ製のスクーバタンクに限っては特殊な要因から、平成14年6月に法令によって年1回ねじ部の検査が義務づけられることになりましたが、タンク内部の他の部分(胴部や底部)の検査は5年ごとの検査にゆだねられたままです。  またスチールタンクについては5年に1回の容器再検査のみが義務づけられています。(製造年の古いものについては3年間ごと。)

 しかし、スクーバタンクは他の一般高圧ガス容器と異なり、タンク内部に水分や塩分が侵入しやすい環境で使用される事を考えると、5年間一度も内部を点検しないという状況は時として大変危険なことであり、また呼吸するためのものであるため衛生面からも問題があります。

 現実にスクーバタンクを数多く検査している「容器検査所」からもスクーバタンクの内部腐食に関して問題が提起されています。

 こうした事からダイビング業界としては諸外国と同様に、スチールタンクも含めてスクーバタンクすべてに対して年1回内部目視検査を実施すべきであると考え、ダイビング業界としての自主的な安全・衛生管理策として、年1回の内部目視検査実施を推進してゆくことにしました。

 これは業界の自主的な活動として行う「年1回の内部目視検査」をどの様に実施すべきか、そのガイドラインを示したものです。

 法令による厳しい規制下では、法令を守っていることによって賠償責任リスクを回避することが出来ますが、規制緩和進むに従って法令にリスクヘッジさせることは出来なくなり、自己責任(オウンリスク)へと移行してゆきます。

 「旧高圧ガス取締法」が「高圧ガス保安法」と変わり、規制緩和が進むと共に「自主保安」という思想がより強く打ち出されています。  「法令による規制」と「自己責任」は「天秤はかり」のようなもので、規制が強くなれば自己責任は軽くなり、規制が弱まれば自己責任は重くなります。

 ダイビング事業者の皆様には、こうした事をご理解頂いた上で、「スクーバタンク年1回の内部検査」をぜひとも実施していただくよう、お願いいたします。


当協会自主ガイドラインの適用範囲
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 スクーバダイビング業界ガイドラインは、レジャースクーバダイビングに用いられる圧縮空気を充てんするタンクを対象としており、圧縮空気以外の人工空気や混合ガスを充填するタンクは適用外です。

 またこのガイドラインは、主として法令で義務化されていない年1回のタンク内外面の目視検査に関して設けたガイドラインであり、法令に基づいて義務化されている耐圧検査を含む容器再検査については本ガイドラインの範囲ではありません。

 ただしアルミタンクねじ部の検査については、法令で定められているものですが、本ガイドラインでも取り上げています。


1.どこで目視検査を行うか?
「アルミタンク」
アルミタンクは、年1回バルブ取り付けねじ部の目視検査を行うことが法令で義務づけられており、この検査は法令に基づいて登録されている「容器検査所」でしか行うことが出来ません。
 しかし法令で定められている検査項目は「バルブ取り付けねじ部」の検査のみであり、スクーバダイビング業界が定めるタンク内外面全般の検査は、「自ら行う」か「容器検査所に依頼して行う」かのどちらかになります。

「スチールタンク」
本マニュアルのガイドラインに従って、タンク所有者が自ら実施することが出来ます。
もちろん、法令に基づいて登録がなされている「容器検査所」に検査を依頼しても結構です。


2.作業行程
(1) 刻印の確認
(2) タンク本体及びバルブへの熱影響の確認
(3) 附属品(バルブ、ブーツ等)の取り外し
(4)付着物の除去
(5) 外部検査
外部検査には以下の検査が含まれます
「切り傷・彫り傷」「凹痕」「膨らみ」「曲り」「腐食」「割れ」の検査
(6) 内部検査
内部検査には以下の検査が含まれます
「切り傷・彫り傷」「凹痕」「膨らみ」「曲り」「腐食」「割れ」の検査
(7) 内部乾燥(必要に応じて)
(8) 打 刻
(9) 附属品(バルブ、ブーツ)の取付
(10) 業界自主点検ステッカーの貼附
(11)検査台帳への記入

※ダイビング高圧ガス安全協会ガイドライン(自主基準)による検査作業項目と、法令に規定されたアルミタンク「容器再検査(特定検査)」項目の比較一覧表が別ページに記載されています。

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